About Dolls

▲ ball-jointed doll.【Cliel†IV】 All bisque/H.56cm. (C) Koitsukihime 2005.

恋月姫の人形作品について

 人形作品の形態は球体関節人形と言われるものです。これは全身をパーツごとに分け、それぞれは球体によって関節部分で繋がり、関節部分を自由に動かせるものです。英語ではボールジョインテッド・ドールと言うのが一般的な呼び方です。
 このうち、恋月姫の製作している素材は2種類有ります。一つは石塑という素材で、岩石を粘土状にしたものです。これは乾燥させると固くなり造型しやすいので、初心者からハイレベルの造型作家に愛用されているもの。もう一つは「ビスク」という工法で制作されているものです。これは、人形の全パーツを磁器の焼き物で制作し、強力なゴム紐によってジョイントしたものです。これをオール・ビスクといいますが、全体の重量をなるべく軽くするため、厚みをかなり薄めにしています。微妙な形のものを薄く焼くというのは、歪みが出やすく製作は難しいのですが、厚く無難に焼いたものより透明感のある美しい肌の反射が得られることと、大きい作品には重量が掛かるので、扱いやすくするためです。しかし、耐久性にこだわる場合など、好みや用途により、これは変化しても良いと考えています。
 これら完成作品にはタイトルも付いていますが、作品の個別判定の為に、ヘッドマークとサインが手書きで入っています。タイトルについては特に印は無く、作者のみ記録しているものです。

ビスクドール制作の工程

 原形はパーツごと彫塑用粘土等で成形のあと、それぞれ石膏で型取りをし、さらに石塑を使用して鋳込みます。取り出した後乾燥させて、修正をしつつやすり磨きを何度も施し、完全作品を制作します。これを鋳込み用の原形とし、これに型抜き用の表面処理をして、原形の型を各パーツごとに石膏で取り、自然乾燥をさせます。それに泥状の磁土を鋳込み、造型の手直しをしたあと乾燥させ、窯に入れて素焼きをします。これにまた磨きを入れて、窯に入れ、本焼成で焼き締めます。これに絵付け処理を4〜5回し、そのたび焼成ののち、関節部分に皮を貼って擦れないように保護をします。皮が乾きおわれば、組み立てが出来、ヘッドに眼を入れ髪と服を着せ終了です。

この素材における製作上の考察

 鋳込み形式の磁器製品は、基本的に複製品としての製造をしやすい素材ですが、創造性を重視してこそ、その際立つ素材の魅力が発揮されると考えますので、安易に大量に複製品を制作することは避けたいと思っています。その為重視される部分(例えば顔の表情とか手足の指、関節の受け部分の形態)及びサイズは、個別にかなり手を加えているので、違いがあります。色合いもその度に変わっている場合が多いのです。
 原材料は磁器なので、かなり強度はありますが、その性質上なんらかの衝撃を受ければ破損するものでもあります。もしもどうしても形態が保てない程の破損状態になったならば、こちらのページのブッキング要項を参考になり、当社(株式会社ルナ・アンジェリコ)までメールでご相談ください。


*「ビスク」というのは産業革命盛んな頃にヨーロッパで開発された、柚薬を掛けず焼き締めた磁器を人間の肌のように絵付けしてリアルな表現をさせて作った画期的な制作工法でした。この工法を用いて制作された人形を「ビスクドール」と言います。19世紀末にパリで活躍した「ジュモー工房」に代表される、主に高級な美術人形の為のものだったようです。これらは、所謂アンティークドールの頭部に使用されていることで良く知られている。しかし、後に戦争などの世界情勢や経済・時代の変遷とともに、およそ20年間程の黄金期を終演させる事となりました。わずかに後期はドイツ製の玩具人形などで勢いを盛りかえしていましたが、しだいにセルロイドのような安価に制作出来る素材の開発に加え、近代のプラスティック素材にとって変わり、その工法も伝承されずわずかな資料を残すのみで、当時の職人の技術も幻の彼方となっていったのです。
 これが近年、アンティークドールのレプリカ技術の向上の為に、アメリカ及びドイツなどの会社の研究開発で人形用材料や技術が考察され、良い素材が手に入るようになりました。


この時代に生き、理想の素材で人形を創る事が出来て、貴方に逢える。
その全ての巡り合わせに、私はとても感謝している。

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